よくお父さん、お母さんからいろんな相談を受けるのですが、よくお話することが
「足して10であることが大切です」
と、いうことです。
どういうことかというと、物事を成し得るのに10の力が必要であるとして、子どもが5の力しか出せない時は、周りの大人が5の力を足してあげて10にしてあげる。そうすると、子どもは大人の力を借りて、達成感を得られる。またチャレンジしていける土台が作れる。
はじめは子どもが5の力だから貸す力も5
それが6になれば貸す力は4
8になれば2。そして子ども自身が10の力を出せるようになれば大人は手を貸さず、見てあげる。
達成感だけではなく、実際に1人で出来る力を身に着けさせてあげる。そして、また新しい課題へとチャレンジしていく。こういうことの積み重ねが大事だと思うのです。
小学校の算数でいえば、足し算から引き算、掛け算から割り算へとステップアップしていく感じですね。
しかし、この足して10が上手く行かないケースが多いように思うのです。
それは…
「大人が手を貸しすぎてしまうケース」
が多くなっているということです。
子どもが8の力を出せるのに大人が7の力で手を貸すとトータルで15。10を越えていきますね。こうなると、子どもは本来8の力を出せるのに、3の力にセーブしてちょうど10になるように調整しようとします。
このケースは、ぱっと見は出来ているように見えますが、実際には力を出さずに抑えているので、持っている力がなかなか伸びて来ず、いつまでも1人でやり切ることが出来ず、似たような課題で伸び悩んでしまいます。そうすると、、、
「あの子は出来るのにどうして家の子は出来ないんだろう」
と、大人は焦るのでもっともっと手を貸すようになり、子ども自身がは伸びていかない。なんでこうなるんだろう…と、大人は悩んでしまいます。
いろんな考えはあると思いますが、今は子どもにとってとても優しい時代です。いろんな物に溢れ、科学が進歩し、子ども自身が創意工夫をしなくても遊びや物事が成立していきます。
だからこそ、
足して10であるためのサポートはどの程度のものかを1度、貸している手を止めて考えることが重要だと感じています。
子どもの成長を思えばこそ、空手を始めてくださるわけですから、そういう想いに応えられるように、方針を押し付けていくのではなく、お家の方の一緒に子どもをどう見つめていくか考えていく道場でありたいと思います。